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社会で子育てをする文化

先日、友人宅でご馳走になりながら、スイスでの子育て事情について熱く語り合う機会がありました。友人による、客観的かつ論理的な見方に、スイスに住むことのデメリットを差し引いた上でも、スイスで育児に携われることを嬉しく思った夜となりました。

これまでは、「スイスはなんとなく居心地が良いなぁ」と漠然と感じていただけだったのですが、日本での里帰りを終えて帰ってきた友人が、「スイスでは、社会全体が子供に関心がある。」と言うのを聞き、「そうだよなぁ」と言い当ててくれた友達に大きく頷いてしまいました。ちょっと思い浮かべるだけでも沢山の例が出てきます。散歩中にもよく話しかけられる、トラムやバスの昇降時に手伝ってもらう、街でも笑顔を向けられる、信号の無い横断歩道では、殆どの確立で車が停止してくれる。大きなバギーでも、肩身の狭い思いはしたことが無く、逆に優先的に通してもらえるような待遇。大家さんや配達のおじさんも、娘を見ると、姿勢をかがめて「Hoi! (こんにちは!)」。そんな余裕や子供に関心のある人が多いように思います。

さらには、そういったことを大人が自然にやってのけるからなのか、子供達も自分達より小さい子供の面倒をみる風潮が出来上がっています。娘を近くの公園に連れていくと、通りすがりの子供達は挨拶をしますし、(最初は不覚なことに、私の方がたじたじとしてしまいましたが。)娘に遊具を譲ってくれたりもします。

「子供会」においても、4~5歳のお子さんが、時々小さいお子さんの遊び相手をする光景が見られます。そんな姿を見ているからなのか、2歳半になったお子さんもやはり1歳半の我が娘に同じようにお世話をしようとしたりも。小さい子に手を差し伸べる、、、といった事が、誰かに教えられた訳でもないのに、自然に波及していっているような気がします。

この問題は、もしかして人間と人間同士の壁というか距離感に関係するのかもしれません。こちらは田舎だからということもあるでしょうし、散歩をしていても通りすがりの人とは"Gruezi(こんにちは)"と挨拶をしたりします。「赤の他人には挨拶はしない」そして、自己防衛の観点から子供達には「知らない人に挨拶はしない。」と教えることさえある日本とは大分違います。決して、スイス人が社交的で人懐っこい人種だとは思っていませんが、私は見習わなければならない点が多くありそうです。

とまぁ、なんだか長々と偉そうに書いてしまいましたが、自分自身は、日本に居た頃は、子供や子連れに対する配慮も全く欠けていましたし、他人に挨拶をしたり手を差し伸べたりする余裕さえほとんどありませんでした。「地域社会で子育てを」などと内閣府が唱えているような仰々しいことは、スイスにはありませんが、自然に子供に暖かいまなざしを注ぐことが出来る社会なのかもしれません。実際子育てにどっぷり浸かっている者としては、日常で触れる、ささやかな思いやりが何よりも嬉しかったりするんですよね。

この日は、こんな事を語り合いながら、ビール→リースリング白→ブルゴーニュ赤とお酒も進みました。このテーマは引き続きあれこれ考えを巡らしたいと思うので、(お酒を飲みながら)第二弾、第三弾とやりたいものです。

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4歳のお姉ちゃんにピン止めをしてもらっています。

 

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ネックレスまでしてもらって、みんなお洒落さん。

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「育児」カテゴリの記事

コメント

「子供」も「お年寄り」も社会の宝、スイスに来てそんな当たり前なことを教えられたような気がします。

日本の習慣になれてしまった私は当初、「子連れで迷惑でしょう。すみません。」と、どこへいくにも肩身の狭い思いでいましたが、「宝物」を育てている私達をも大切なものとして扱ってくれるスイスで生活しているうちに、胸を張って歩けるようになりました。

そう思うとちょっと寂しいですね、日本は。私達が幼かったころは、もっと違っていたと思うのだけど。

投稿: よしこ | 2008年1月30日 (水) 13時45分

よしこさん、ホントにねぇ。子供のおかげでいい思いをさせてもらったり、会話をするきっかけになったり、子供って親善大使だね。

日本では忙しすぎて余裕を失っちゃうのかな。。。はたまた、日本人の性格的に、挨拶をすることを躊躇したり、お年寄りに席を譲ったりするなどの親切をすることを恥ずかしがったり。日本に滞在したことのある外国人の間では、「日本人は親切で、礼儀正しい」ともっぱら評価が高いのですけどね。。。

親切にしたりすることが互いの喜びにつながる社会なんて理想論だと思ってたけれど、そんな大袈裟なことを考えなくっても、子供・お年寄りをいたわる気持ちやさりげない親切が日常的に感じられる生活って素敵よね。

投稿: ハイジ | 2008年1月31日 (木) 13時28分

ほんとうにね。日本はどうして、子供やお年寄りに冷たいんでしょう?悲しいね。アメリカでもみんなが子供を大事にしてくれたので、とても居心地がよかったです。渡米して6ヶ月で出産し、周囲に日本人も友達も少なかった私にとっては、見知らぬ人が「かわいいあかちゃんね~」と気軽に声をかけてくれるのがとても嬉しかったよ。生後まもなくなんて一体何人の人に「おめでとう!」と言われたかわからないぐらいでとても祝福されている感じがしたよ。
日本とアメリカのこの違いを一番敏感に感じたのは娘だったの。彼女はとても社交的で誰にでも挨拶をする子だったので、アメリカでは外で話しかけられる機会も多く、本人もそれを楽しんでいたんだけれど、日本に帰国すると彼女が挨拶をしても気がついてくれない(存在を気に留めてないからかな?)、気付いてもほほえむぐらいで話しかけてはくれないの連続で、何度も「何にもいってくれないね」と悲しそうに言ってたわ。そして次第に彼女も挨拶をしなくなってしまいました。さらに国内での引っ越しをしてますます内向的になりつつあったのだけれど、今回の家は70世帯の社宅で、社宅内ではみんな挨拶するし、話しかけてもくれるので、やっと持ち前の明るさが戻ってきたよ。

投稿: kana | 2008年2月 1日 (金) 07時38分

読み応えのある内容でした。長さも内容も、ね!スイスの子育て事情、羨ましい限りです。仰仰しいスローガンより、さりげない接し方のほうが、どんなに優しくて大切なことか、よく分かります。Nチャンの髪の毛にピンを留めてくれる4才児の女の子、いい写真ですね。これから子供連れの親子を見たら、歩調を緩めて二コッとしようと思いました。

投稿: rosemary | 2008年2月 2日 (土) 07時07分

kanaちゃん、大事な体験談を共有してくれてどうもありがとう。Nちゃんが体感した通り、周り(社会)の影響って大きいよね。ちなみに、Nちゃんは英語で話しかけられていたのでしょう?言葉が違うのに、本当によく頑張ったよね。言語より気持ちが大事ということなのかな。

私も帰国子女だったので、日本に戻った時に、無表情な人達が多いなぁと子供心ながらに感じたものでした。中学生のときに帰国した折には、皆とちょっと違うということで、イジメにあったことも。そんな中で、自衛作として皆と格好や歩調を無理に合わせる自分が嫌になったり。。。

っと、話が少々脱線しちゃったけれど、アメリカで体感したような人と人との垣根の低い風土は、どうしたら生まれるんだろうねぇ。Nちゃんの社交的な性格と朗らかな笑顔が、続きますように!

投稿: ハイジ | 2008年2月 2日 (土) 12時48分

rosemaryさん、長い文章、読んでくれてありがとう。勿論スイスでもいい事ばかりでは無いですけれど、子育てをしていると、こちらの良さが見えてくることが多いんです。子供に対する接し方が、頭で分かっているのではなく、もう自然と身についてしまったというようなさりげなさ。私も、自然体で、こういう態度がとれるようになりたいです。

日本でも、配慮ある方はいると思います。以前、電車の中で、高校生の女の子二人が娘を構ってくれたこともありましたけれど、そういう人が増えるといいですね。rosemaryさんも、ニコっとするだけでなく、話しかけたりもっと踏み込んでもいいのかもしれませんよ。(ってあまり距離を近づけると、日本だと「変な人」というレッテルが貼られちゃうのでしょうか。。。)

投稿: ハイジ | 2008年2月 2日 (土) 12時51分

スイスとひとことで言っても地域にもよるかと思いますが、お子様がいるようなので、学校に行くようになるともっと“地域”ということ、“人種”の意味がよくお分かりになってくるかと思います。
平和ボケしてしまうと、見えなくなるものが多いです。
良い意味で地域に馴染むと、イヤなところは見えなくなります。
グループ意識が強いという点では、日本人にとても合っていると思います。

教育という点では、一定の教育を受けていない両親の元にある家庭においては、何も望んでいない方が多いのが現状の国です。

投稿: | 2008年2月 9日 (土) 18時27分

名無しさん、こんにちは。コメントありがとうございました。確かにそうですね、これはあくまでも現時点での私個人の見解によるものなので、スイス全体がそうであるとは決して言えないですよね。私自身、小学校、中学校、高校、大学とそれぞれの時期を海外で過ごして、人種差別や偏見と無縁でいられたわけでは無いので、スイスでもそういった問題に対峙することがあるだろうと予期していない訳ではありません。きっと、子供が学校に行くようになる数年後が、正念場なのかもしれないですね。

スイス滞在は3年強ですので、まだ知らないスイスが沢山あると思います。ただ、出来る範囲で少しでも居心地が良くなるよう、前向きに毎日を送っていきたいです。(理想論かもしれませんけれど。。。)

投稿: ハイジ | 2008年2月11日 (月) 21時51分

風邪でしばらく余裕なかったのでコメント遅くなってしまいました。

当時まだ2語文しか話せなかった娘にとっては言葉の違いは問題なかったようでした。ハイジさんの帰国子女としての経験は大きくなったNちゃんがスイスと日本の違い等で戸惑った時にとても役に立つのでしょうね。

投稿: kana | 2008年2月18日 (月) 14時48分

kanaちゃん、もう大丈夫なの?鼻の方はもう治った?お母さんがダウンしちゃうと、家のことが全部ストップしてしまうもんね。早く良くなりますように!元の生活リズムを取り戻すのにも少々時間がかかっちゃうかもしれないけれど、慌てずにね~。

また今度会うときには、Nちゃん&Tくんの言葉の習得・英語の勉強方法などについて教えてね。

投稿: ハイジ | 2008年2月19日 (火) 23時40分

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