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「バイリンガルを考える会」

昨日は、バーゼル「バイリンガルを考える会」主催、バーゼル日本人会後援のパネルディスカッションを拝聴してきました。テーマはずばり、「『バイリンガルを考える』-いかにわが子に日本語を教えていくか-」です。総勢40名ほどでしょうか、いつもの子供会の顔ぶれも多く、小さいお子さんを持つ、国際結婚をしている親たちの関心の高さが伺えました。

続きは長ーくなるので、ご興味のある方だけどうぞ。

バイリンガルと言っても私にとっては既に身近な言葉。と言うのは、私自身、父の仕事の関係で、4歳の頃からアメリカと日本を行き来した子供時代を過ごしたからです。かれこれ英語圏での滞在は計7年ほど。英語を話せることは、自分のアイデンティティーのひとつとして自信につながりましたし、仕事上で役立っただけでなく、交友関係が広がり、人間としての幅も少しは広がった気がします。当時は転校生であり続けるのが嫌で、親を恨んだこともありましたが、社会人になった頃に、チャンスを与えてくれた両親にようやく感謝できるようになりました。

私の夫は、バイリンガル、いや、クアトロリンガルで、母国語であるドイツ語に加え、英語、フランス語、日本語(日本暦9年)を話します。多言語を話せることのメリットは存分に享受しているようで、娘の語学教育についても理解を示してくれています。これは有り難いことですね。といっても、2歳になる娘に、我が家で実践していることといえば、一人が徹底的に一言語で話す(あとは絵本を沢山読む)という事だけですけどね。これは、パネラーの方たちもおっしゃっていたことなので、後押しを得たような気がして勝手に嬉しくなっていました。また、パネラーのお一人は、旦那様との会話はスイスドイツ語ではなく、標準ドイツ語を通したそうです。これまた我が家と一緒なので、成功例があることに安著感を覚えました。

今のところ、2歳になる娘は威勢よく日本語をしゃべっており、特にバイリンガル教育の難しさを感じるといった事はありませんが、幼稚園に行く頃からが正念場だそうです。その頃になると、必然的にドイツ語の方が優勢になってくるとのこと。娘は、おそらく家の向かいにある地元の幼稚園に入れる予定ですが、それ以降が本当の意味でのチャレンジになるのでしょう。ドイツ語が強くなると、家にもどんどんドイツ語を持ち込むようになり、そういったときに、(たとえドイツ語の内容が分かったとしても)「もう一回言って」「何?」と聞き返すことが大事なんだそう。娘が日本語の意味が分からない場合も、日本語で説明してあげること。また、周りがドイツ語や英語を話していても、娘とは堂々と日本語で話すこと。(←これ、なかなか難しいのですけどね。)お互いに楽なほうに流れるのではなく、母子の間では、徹底して日本語を話す関係をつくる「根競べ」という話に、大いに頷いてしまいました。

また、日本語を話すから、もしくは外見が違うから、ということで冷やかされることもあるという話も伺いました。そういった場面に遭遇した場合、オロオロしたり、悲観的に受け取るのではなく、上手に交わしたり、めげずに日本の魅力を娘に伝えることだそうです。とにかく親が自信を持つことが大事なのでしょう。子供は親の様子を見ているのは勿論のこと、気持ちだって見抜きますものね。親の態度の一貫性が大事、という言葉が印象に残っています。

日本語学校についての話もありました。私はアメリカに滞在中、通信教育と父直々の算数レッスンを受けており、自分自身が日本語学校に行く機会はありませんでした。でも、今回お話しを伺って、水曜日の午後、(バーゼルでは、水曜日午後は学校が休校となる為)日本語学校に娘を送ろうと心に決めました。日本語上達のためだけではなく、同じ境遇にある仲間と一緒に、小さいながらも日本の社会を体験することが出来るからです。日本の社会や文化に触れること。そこに言葉を勉強することの意味がある、という言葉に同感しました。当面は、同じくらいの年齢の子供達を持つ友達と寺子屋を行って、初歩のレベルでですが、日本語遊びや日本の四季の行事などを楽しもうと思っています。

今回のパネルディスカッション。ここでは書ききれない有意義な情報もちりばめられていました。私にとっての一番の収穫は、バイリンガル教育を「問題」ではなく、「チャレンジ」だととらえられる方に傾いたこと。同じ道を歩んできた先輩方の話は含蓄があります。また、頑張り過ぎなくてもいいんだよ、という励ましの言葉のようにも受け取れました。「我が子に日本語を教えるんだ!」と気負うのではなく、「自分も日本語が好きだ、しいては日本も好きだ、つとめて日本語を話そう」、、、それだけのことなのかもしれません。「大変だ」と思わずに、「娘は、バイリンガルになれるチャンスを持っているんだ。」とポジティブに考えること。何しろ、こういった事を一緒に談義することが出来る、志を一緒にする仲間がいるのですものね。本当に幸いなことです。

 

最後に、週末のジョギング中に撮った、春うららな風景を。この時期は特に、この国に住んで良かったなぁと思います。

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コメント

大変参考になるレクチャーをただで聴けて、得しちゃった気分。異文化、異言語、異国で生活し、しかも子供の教育をどうするか考えるのは、「大変」と思いがちですが、見方を変えて「チャレンジ」と捉えるのはなんと前向きでしょう。気負わず、焦らず、諦めず、自分に自信を持ちつつ、失敗にきは、軌道修正できる柔軟性を持ちながら、進んでいきたいものです。「バイリンガルを考える会」のような講演会、続けてあるといいですね。いいお話は何度聞いてもためになりますモンね。スイスの春、緑の色も鮮やかで、きれい!!

投稿: rosemary | 2008年4月29日 (火) 02時26分

rosemaryさん、パネラーの方々の中にはスイス在住暦25年などと、貫禄のある方が多かったです。それよりさらに昔に来瑞した日本人は、当時は飛行機の手段が無かった為、マルセイユ経由まで船でその後列車で、長旅を経てスイス入りしたようです。ですから、覚悟も違いますし、当時は子供に日本語を勉強させるゆとりも考えもなかったようですね。その点今は、海外が身近となり、日本語も学ぼうか、英語も学ぼうか、などと選択肢もあります。ある意味恵まれていますよね。

私にとって朗報ですが、続きもあるようです。娘の語学のことは、しいては、どんな人生を送って欲しいのか、どんな親子関係を築いていきたいのか、といったことにもつながる気がするので、色々と考えていければな~、と思っています。

投稿: ハイジ | 2008年4月30日 (水) 05時41分

バイリンガル&クアトロリンガルの頼もしいご両親に囲まれて育つNちゃんですから、躓くことがあろうとも経験に裏打ちされたアドバイスできっと乗り越えて行ってくれるでしょうね。本当に大変なのは言葉ではないような気もしますし。
若い頃お付き合いしていた(ネット上で言っちゃったけど、ま、いっか)スイス×イタリア人の彼も6カ国語話せたけど、ラテンな性格も手伝ってか直ぐにお友達になれる人で羨ましかったな~
私は近所に話したいけど話せない気になる人が居ます。彼女はフランス人で、ご主人もご両親も娘さんもホントに良い方なの。子供同士も気が合うようで、お互いいろいろ話してみたいのに二人とも英語が苦手で(特に私)ハローとシーユーしか言えない。彼女と話したいが為にお教室に行こうかと思うくらい。
英語に限らず、言語を操れるのって苦労(実際は大変なんだろうけど)よりもメリットの方が多い気がします。
そういう環境にあるハイジさん一家、憧れです。 

投稿: CACA | 2008年5月 2日 (金) 11時50分

CACAさん、そうですね、言葉はあくまでもツール。されど言葉。この講演会では、老人になってボケはじめると、歳をとってから学んだ外国語ほど忘れてしまう、という話もありました。その点、母国語はやはり後々まで残るみたい。それを踏まえると、スイスで老後を送る場合、やはり子供とは母国語で意思疎通が出来るほうがいいしなぁ、、、なんて先々のことを考える機会にもなりました。
以前の彼も六ヶ国語を操っていたのねー。スイス人の前ではバイリンガルであることが何の自慢にもならないのよね。(>_<)
そのフランス人の方はお近くに住んでいらっしゃるのかしら。ジンボリーにお誘いしてみるとか?ちなみに、在日外国人で日本語を学んでいる人であれば、ゆっくりとした日本語で話しかけられるのって嬉しいみたい。(夫もそうでした。)日本語を勉強したいと思っていても日本語で話しかけてもらえない、と嘆いていた友達もいましたっけ。いつかお友達になれるといいね。

投稿: ハイジ | 2008年5月 4日 (日) 13時18分

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